ジャーナル『子どもの日本語教育研究』第1号

ジャーナル『子どもの日本語教育研究』第1号 

(2018年12月31日)

 

発行にあたって
 本研究会のwebジャーナル,「子どもの日本語教育研究」第1号がようやく出来上がりました。編集委員長として,夏にはリリースしたいと各所でお伝えしていたことがやっと実現できてほっとしつつも,このように遅くなってしまったことに関してはどのようにお詫びできるものか,申し訳ない気持ちでいっぱいです。
「刊行の主旨」としてもお伝えしておりますが,本ジャーナルは多様な背景を持つ子どもたちに対する実践と研究を交差させ,交流を行える場を目指して刊行いたしました。創刊第1号としては,寄稿論文5本,投稿論文2本,そして1本の調査報告を掲載することができました。寄稿論文1本目の齋藤論文と調査報告では,本研究会に関して,その発足の経緯に触れ,ここまでの活動についてまとめてあります。そして,寄稿論文のうちの高橋論文と内田論文はそれぞれ,第2回研究大会,第3回研究大会における研究会企画のパネルセッションでの発題が基になっています。HP上の大会報告と併せてお読みいただき,本研究会の活動の目指すところについて,広く知っていただければと思います。
 また,投稿論文としては「実践報告」のジャンルで2本の論文が掲載に至りました。「実践報告」は閲読という仕組みに則って掲載論文に仕上げていただきます。本研究会では実践の記述について重視しています。どのようにしたら実践が描け,発信につなげられるのか,掲載論文を一例として,日々多様な実践を進めている読み手に示すことができれば幸甚です。
 最後に,重ねて,編集作業が遅れ刊行がこのように遅くなってしまったことを,皆様に深くお詫びいたします。申し訳ありませんでした。当研究会ではこの後,第2号の刊行も予定しております。「子どもの日本語教育研究」は実践と研究の成果を共有しリソースとして活かし,よりよい実践研究を創出するためのジャーナルとしてありたいと希望しています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

編集委員会編集長 池上摩希子(早稲田大学)

 


目次

◆寄稿論文

1 転換期を迎えた「子どもの日本語教育」
-本研究会の社会的役割:社会参加のためのことばの教育-
齋藤ひろみ(東京学芸大学)
2 特別支援教育が日本語教育に貢献できること 高橋登(大阪教育大学)
3 複言語環境で育つ乳幼児期の子どもの「ことばの獲得」を考える 内田千春(東洋大学)
4 子どもの第二言語習得研究と日本語教育
-JSLの子どもを対象とした研究と実践への道しるべ-
西川朋美(お茶の水女子大学)
5 日本語指導が必要な子どもに関する現職教員のビリーフ
―影響を与える経験に着目して―
浜田麻里・齋藤ひろみ
(京都教育大学・東京学芸大学)

◆投稿論文

 〈実践報告〉
1 コミュニティー形成を目指した継承語教育クラブの立ち上げ
-モンゴル・ウランバートルにおける試み-
伊藤頼子・八尾由美子
(名古屋大学日本法教育研究センター・
モンゴル日本人材開発センター)
2 はじめてJSL生徒を受け入れる高校の取り組み
-A高校における事例-
坂井香澄(筑波大学大学院)

◆調査報告

1  「子どもの日本語教育研究会」に期待されること
-大会・研究会における実践・研究発表の分析を通して-
菅原雅枝(東京学芸大学)

 


〈編集委員会〉
池上摩希子(早稲田大学)、西川朋美(お茶の水女子大学)、
花島健司(港区立笄小学校)、松本一子(愛知淑徳大学)
事務局:齋藤ひろみ(東京学芸大学)、秋山幸(早稲田大学大学院)

〈査読・閲読者〉
池上摩希子(早稲田大学)、石井恵理子(東京女子大学)、内田千春(東洋大学)、
川口直巳(愛知教育大学)、齋藤ひろみ(東京学芸大学)、菅原雅枝(東京学芸大学)、
西川朋美(お茶の水女子大学)、野山広(国立国語研究所)、花島健司(港区立笄小学校)、
浜田麻里(京都教育大学)、松本一子(愛知淑徳大学)

=編集後記=
 今号はジャーナル第1号ということもあり、投稿本数は研究論文が3本、実践報告が1本とそれほど多くはありませんでしたが、どの投稿も執筆者の熱意がひしひしと感じられるものでした。査読と閲読を経て、研究論文のうちの1本が実践報告にジャンル変更がなされ、その結果、実践報告2本が掲載の運びとなりました。査読と閲読のご協力に、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
 また、5本の論考と調査報告を1本、寄稿いただきました。本ジャーナルでは,子どもの日本語教育に関する論考を広く集めて掲載したいと考えています。この考えに基づいて、寄稿論文全体を構成いたしました。シンポジウムの発題からの論考、実践研究や子どもの第二言語習得に関する考え方、昨今、耳目を集めている指導者(教師)に関する研究です。読者に向けて、「子どもの日本語教育に関する論考」の拡がりをお示しすることで、次号以降の投稿の指針もまた、お示しすることになればと思っています。

2018/12/31【M】

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