子どもの日本語教育研究会第9回大会は、2024年3月9日はオンライン、10日は横浜国立大学にて行われました。今回初めてご参加になった方も多く、子どもの日本語教育に対する関心の高さもうかがえました。
ここでは、会場の写真とアンケートで寄せられた皆様の声を合わせて、大会のご報告をさせていただきたいと思います(各発表の内容は「第9回大会 実践・研究発表 発表要旨等資料」をご覧ください )。
【1日目】
1日目の3月9日は約250名の方がご参加くださいました。
まず、プロジェクトAによるワークショップ「実践を伝える・聴く・語り合う―ひとつの現場からわたしたちの現場へ―」 (2023.10.21於:高岡市 共催:NPO法人アレッセ高岡)の実施報告会が行われました。
プロジェクトAのテーマである「実践から学ぶには」をめぐって、語り合うことの重要性をとりあげ、会を開くことで得られること、実践から学ぶために必要な「語る側」「聴く側」のポイントなどを報告しました。アンケートでは、ご自身がこうした会に参加した際の体験を振り返り「そうだなぁと思った」というお声が多く聞かれました。また「やってみませんか、小さな『語り合う会』」というメッセージに対しては、36%の方が「自分の地域でもこうした会を開きたい」と答えてくださいました。ご参加くださった皆様、ありがとうございました。(プロジェクトAチーフ 菅原雅枝)
その後、「実践・研究発表」が行われました。前半後半約50分ずつに分かれ、計14本の発表が行われましたが、時間があっという間に過ぎるほど中身の濃い発表と議論が展開されました。今回は研究発表が2本、実践発表が12本でしたが、非常に勉強になったとのご感想を多くいただきました。
ただし、アンケートでは、「発表時間を長くしてほしい」「質疑応答の時間を長くしてほしい」など、さまざまなご意見がありました。すべてにお応えするのは不可能ですが、検討していきたいと考えております。また、今回は発表件数が少なかったと感じております。本研究会は、一方向での情報提供ではなく、相互に資源としての実践・研究の成果を交流することを目指しています。完成していないものも大歓迎です。是非、ご発表をご検討ください。
(大会委員長 河野俊之)
【2日目】
2日目の3月10日はパネルディスカッションと研修の1つの大会企画が対面で行われ、100名以上の方がご参加くださいました。
1つめの大会企画パネルディスカッション「外国人の子どもたちの地域支援の現状と課題」では、山口県、石川県、佐賀県、神奈川県秦野市の4つの地域の現状と取組について報告がありました。行政、大学、地域団体の関係者という異なる立場のパネリストによる、学校や関連機関とのつながり、継続的な支援者育成の難しさと工夫など、興味深い内容のお話を伺うことができました。
アンケートでも「参考になった」「大変参考になった」という回答がほとんどで、幅広い連携が子どもたちを取り巻く環境を支えることにつながるとあらためて気付かされ、「多くのヒントが得られた」「勇気づけられた」という声がありました。また、終了後に参加者それぞれの地域での情報交換などの交流もあり、対面ならではの光景が見られたこともよかったと思います。
(大会委員パネルディスカッション担当 草木美智子・當房詠子)
2つめの大会企画研修は「教科学習を意識した日本語指導における教材研究・ワークショップ」と題し、前半、横溝亮さん(横浜市教育委員会指導主事)にデジタル教科書の実践、高瀬円さん(横浜市立潮田小学校 国際教室担当教諭)に国際教室での様々な教材をご紹介いただき、後半は4単元24グループに分かれ、ファシリテーターを入れると100人規模のワークショップを行いました。
グループごとに想定する子どもの設定に基づき、どんなことに困るだろうか、それができるようにはどのように支援すればいいか、教材アイデアを話し合いました。40分間という限られた時間でしたが、初対面で立場の異なるメンバーと意見を交換し、シートにまとめ、共有することができました。アンケートでは「対面の良さがあった」「デジタル教科書の有効性と、日本語初期段階の子どもをクラスメートと関わらせるための工夫が理解できた」「研修のやり方が参考になった」とのご意見を頂いています。
(大会委員研修担当 権野さち・谷啓子)
アンケートでは、全体として、もっといろいろな実践を聞きたい、もっと情報交換をしたいというようなご意見をたくさん頂戴しました。また、開催時期の検討を期待するというご意見などもあり、今後の運営にとって貴重な示唆をいただきました。
次回の第10回大会も同時期に横浜国立大学で行う予定でおります。今回、いろいろと至らぬ点もあったかと存じます。頂きましたご意見、ご感想を元によりよい大会になるよう努力してまいります。
どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
第9回大会実行委員長 河野俊之