第2回ワークショップの報告
2017年8月19日(土)於:名古屋国際センター

2017年8月19日(土) 名古屋国際センター
第2回ワークショップが終了しました。
プログラムと実行委員会の皆さんがまとめた報告書を掲載します。

1.日本語初期の指導体制と指導方法
ファシリテータ: 松波良宏(豊橋市立岩田小学校)
1-1 「在籍校で輝けるために~西尾市早期適応教室の場合~」
菊池寛子(西尾市早期適応教室)
1-2 「通級方式による日本語指導―センター校の視点から」
矢嶋ルツ
(大阪市「帰国した子どもの教育センター校」大阪市立阿倍野中学校 日本語・適応指導教室)
1-3 WS提案  大蔵守久(波多野ファミリスクール)
2.リライト教材の作成と実践
ファシリテータ: 五十嵐恵美(豊橋市教育委員会)
2-1 「DLAとJSLを活かした授業づくり「一つの花」
伊藤敦子 (小牧市立大城小学校)
2-2 「クルルとカララの心のきょりは?~風切るつばさ~」
大谷喜久代(豊橋市立飯村小学校)
2-3 WS提案  光元聰江(元岡山大学教育学部)
3.ライフコースを見据えたキャリア教育 
ファシリテータ: 宮谷敦美(愛知県立大学) 川口直巳(愛知教育大学)
3-1 「エンパワメントの視点から~浜松の事例~」
松岡真理恵(浜松際交流協会)
3-2 「多文化共生とキャリア教育 ~岐阜県立東濃高校の取組~」
吉田益穂 (岐阜県立東濃高等学校)
3-3 WS提案  山田泉(元法政大学キャリアデザイン学部)
ゲストスピーカー:アルーダ中豊留ハルミ 吉富レアンドロ ヤノビセイジ

1.日本語初期の指導体制と指導方法
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【午前】 参加者 42名

報告者①:菊池寛子さん(西尾市早期適応指導教室)
報告者②:矢島ルツさん
(大阪市「帰国した子どもの教育センター校」
大阪市立阿部野中学校 日本語・適応指導教室)
ファシリテーター:松波良宏さん(豊橋市立岩田小学校)
助言者:大蔵守久さん(波多野ファミリースクール)

■ラウンドテーブルの意見等
「現状の課題」
・ 日本語0(プレクラス)から教科支援につなげる指導方法・教材・情報の共有化(積み上げ)第2回WS-RT1-1.JPG
・連携(担任、教科担任、保護者、大学やNPOなどの外部機関)
・母語保持
・進路(中3)
・発達障害のある子への指導(又は、学びがゆっくりな子への指導)
・多言語化への対応
・市教委、学校の支援体制(受け入れ、指導体制)
 
【午後】参加者 42名

講師:大蔵守久さん(波多野ファミリースクール)
ファシリテーター:松波良宏さん(豊橋市立岩田小学校)

■WSの様子、意見等

・いろいろな人の意見を聞きながら活動することができてとても勉強になった。(小1グループ)
・時間割1枚から様々なことを教えることができることがわかった。(中1グループ)
・「いい・だめ・違う・同じ」の4つを組み合わせて活動を考えるのが難しかった。(小2グループ)
・子どもに日本語を教えるポイントと大人に教えるポイントの違いが新鮮だった。「子どもにはここまでおしえるのか」と思った。(中2グループ)
・たくさんの文型を使いながら、活動を考えることができた。よい経験になった。(小3グループ)
・普段から指導者は文型を意識して指導することが大切だと思う。(中3グループ)
・学び合いの関係。周りの子と協同しながら学ぶこと(学習支援者作り)が大切だと思う。(小4グループ)
経験豊かな他地域で活動されている先生方の意見を聞くことができて参考になった。(中4グループ)
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2.リライト教材の作成と実践
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【午前】 参加者 48名
報告者①:伊藤 敦子さん
報告者②:大谷 喜久代さん
ファシリテーター:五十嵐 恵美さん
助言者:光元 聰江さん

■ラウンドテーブルの意見等
○参考にしたい手立てや方法など
・気持ちカード
・わかりやすい「めあて」の提示
・振り返りを書く際のモデル文の提示第2回WS-RT2-2.JPG
・レベル別リライト教材
・母語の出来る子どもに通訳してもらう支援
・絵カード、動作化
○日本語の能力差がある児童たちに、リライト教材を使って教えるときの注意点
・子どもの日本語レベルに合わせたリライト教材を作る。
キーセンテスやキーワードは同じにして作成することが大事。
○通訳がいない学校で、来日間もない児童とリライト教材で勉強するときの方法
同じ母語を話す児童の力を借りる。視覚情報、動作化なども使うと良い。

【午後】参加者 47名
講師:光元 聰江さん
ファシリテーター:五十嵐 恵美さん

■WSの様子、意見等
○WSは、各グループ 作業工程表に従って、活発に意見交換をしながらリライト教材を作成していた。
○WS後の意見、感想
・リライトした方が、主人公の気持ちが分かりやすい。
・子どもの日本語レベルを把握することが大事だと実感した。
・国語や日本語の目標を定めるとリライトが作りやすい。
・話し合いを進めていくうちに、大事なところがはっきりしてきた。
・レベル5の子どもにも、音読譜は用意した方がと良いと思った。
・映像や動作化などが有効だと感じた。
・音読譜の改行の位置が難しい。
・概念的な語彙の説明は難しい。やさしい日本語にする練習が必要だと感じた。
・目標を定めたり、語彙をどこまで簡単な言葉に置き換えたりするのが難しかった。

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3.ライフコースを見据えたキャリア教育

【午前】 参加者 35名
報告者①:松岡真理恵さん(浜松国際交流協会)「エンパワメントの視点から〜浜松の事例〜」
報告者②:吉田益穂さん(岐阜県立東濃高校)「多文化共生とキャリア教育〜岐阜県立東濃高校の取組〜」
ファシリテーター:宮谷敦美さん(愛知県立大学)、川口直巳さん(愛知教育大学)
助言者:山田 泉さん(元法政大学キャリアデザイン学部)

■ラウンドテーブルの意見等:3つの質問と山田泉さんの感想

①東濃高校の日本語支援システムについて?
 取り出し・入り込みでも定期テストは同じ問題でふりがな付きである。第2回WS-RT3-2.JPG
日本語教育を学んだ専任教員が2人担当している。
語学の支援員はトータルで520時間を計5名で
割り振りしている。

②キャリア教育プログラムの流れは外国人と日本人の
混合クラスでのぞむのか?

 外国人クラスは外国人だけで日本人生徒と同じミッションを行う。
教員が適切なものを割り振る。

③キャリア教育による外国人生徒の変化は、外国人生徒の進路は?第2回WS-RT3-1.JPG
 進路選択は2年先なので不明。
就職状況の単純比較はできない。
傾向としては、外国人生徒の進路は、4大はゼロ、専門学校が多い。
正規採用は難しい。

④浜松の取組は「多文化共生」がキーワードで、マイノリティも含んで
ともに社会をつくっていく本来の意味の「多文化共生」である。
東濃高校の取組は、マイノリティが力を付けて自立して社会を変える
方向に向かう「戦略的同化」の可能性を持つ。

【午後】参加者 32名
講師:山田 泉さん、3人のゲストスピーカー(元子どもの立場からの語り)
ファシリテーター:宮谷敦美さん(愛知県立大学)、川口直巳さん(愛知教育大学)

■WS提案(山田さん):
「違い」を大切にし、外国からの人たちに日本社会が学んで、キャリアアップすることが大切である。

■3人のゲストの話:①自分の経験から後輩に伝えたいこと、②日本社会のあるべき方向性について
   ①できないわけではなく、普通よりも努力すればできる。
少しでも成長することが大切。

    自分を大切に自分の違いを受け入れて頑張って欲しい。
人とのつながりを大切にしたほうがいい。

   ②「違い」を受け入れる社会になって欲しい。
「外国籍は国内で歯科技工士として働けない」と聞いた。

    外国籍であることが就職に不利にならない社会であってほしい。

■ワークショップ:
①自分の生き方に大きく影響した出来事や人を語る(20分)
②支援する立場になったとき関わり合いの中でどんな支援ができるか(25分)
→キャリア支援での関わりかたは?

■グループ発表:
母語の継承の重要性・情報提供の重要性・依存と支援のジレンマ・出口支援・
多様性の価値を認める(枠の拡大:社会変化)・人とのつながり・相手への想像力・自己実現

■山田泉さんのまとめ:
人と人との関係がキャリア教育につながる。教えこむ関係ではなく、
相手が知りたいことを自律的に学ぶように働きかけるのが本来の「学び」であり、
その働きかけをするプロが先生である。

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  子どもの日本語教育研究会 第2回ワークショップ
実行委員会 委員長:松本一子 (愛知淑徳大学)
事務局:築樋博子 (豊橋市教育委員会)
委員 :宮谷敦美 (愛知県立大学)
川口直巳 (愛知教育大学)
伊藤敦子 (小牧市立大城小学校)
大谷喜久代(豊橋市立飯村小学校)
松波良宏 (豊橋市立岩田小学校)
五十嵐恵美(豊橋市教育委員会)

 

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