2017年12月10日(日)東北大学での第2回研究会が無事に終了いたしました。
当日は、師走の寒い仙台での開催にもかかわらず、14件のポスター発表(発表者30名)と87名の方のご参加を頂きました。研究会の運営委員に加え、東北各地から実行委員として加わってくださった皆さんのおかげで、大過なく会を終えることができました。本当にありがとうございました。
午前のポスターセッション会場では、2階の廊下を会場として、両側で前後2回の入れ替え制で行いました。子どもたちの言語能力の測定結果や作文指導、教科書分析といった研究から、子どもたちのキャンプ活動や進学支援のためのガイダンスの実施、多言語情報の提供、また各地域の教室における子どもたちの日本語学習支援活動などの実践まで、多様な視点からの研究、実践の取り組みが紹介されました。また、発表をふまえた熱い議論、意見交換も交わされました。あらためて、この分野の人・知恵・実践の広がりの大切さを感じました。狭い廊下には80余名の皆さんの闊達でエネルギッシュな対話にあふれ、東北の初冬の寒さも吹き飛んでしまいそうな熱気に満ちあふれていました。
午後は、200名超の参加者で、日本語学習支援ネットワーク会議との共催によるパネルディスカッション「外国につながる子どもと家族が地域で生きること」を行いました。まず3名の登壇者から、「二重言語で育つこと」「母語継承の意義」「地域社会での自己実現」といったテーマで、それぞれの方々の実際の体験にもとづくお話をうかがうことができました。東北で地域社会の中で葛藤と共に生きる外国人住民の家族の姿、そしてことばの問題が、まさに真に迫る語りとともに強く印象に残るものとなりました。
その後、静岡県立大学の高畑幸先生には登壇者の語りを3つのテーマに整理して頂き、参加者はそれぞれの興味関心にあわせて別教室に分かれてのラウンドテーブル活動を行いました。それぞれの教室ではさらにテーマが深く掘り下げられ、さらに、地域、世代、立場、考え方の違いを越えた話し合いをすることで、普段とは異なる新たな気づきや違った視点を持つことができたように感じました。また、参加者同士の交流も深まり、新しいネットワークがいくつも生まれました。最後は、また大教室に戻り、全体会の報告でそれそれの教室での話し合いの報告がなされ、全体にフィードバックされ、盛会のうちに会を終えることができました。
今回の研究会では、日本語学習支援ネットワーク会議との共催という新たな試みにチャレンジしました。本研究会では既存の枠にとらわれることなく、子どもの日本語教育の課題に取り組んでいきます。そのためには、皆さま方のご協力、ご参加がなりよりも必要です。今回の研究会のご報告ならびに御礼を申し上げるとともに、引きつづきご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
子どもの日本語教育研究会 第2回研究会 実行委員長 中川祐治(福島大学)