第3回大会の報告
2018年3月3日(土) 於:聖心女子大学

子どもの日本語教育研究会第3回大会が、2018年3月3日、無事に終了いたしました。220名を超える方が参加してくださり、熱気に満ちた、でも互いの実践や状況を理解しあおうとする温かな会となりました。遅くなりましたが、大会実行委員からの一言とアンケートで寄せられた皆様の声を合わせて、大会のご報告をさせていただきます。(各発表の内容は「実践と研究のリソース」の第3回大会抄録内容をご覧ください)

午前中は、聖心女子大学グローバルプラザの広いブリット記念ホールをいっぱいに利用して、ポスターセッションが行われました。21人の発表者が、前半後半に分かれ、参加者との議論を繰り広げました。授業や教材作りから校内・地域のつながりづくり、就学前から高校進学、保護者への支援と、多岐にわたる内容が、実践・研究の両面から報告されました。

pho1.JPG「ホールにポスターが並んでいる光景は壮観でした。活発なやり取りも印象的でした。」(岩田)
「ポスターを通して、実践と研究の熱い交流が生まれました。」   (花島)
「参加者と、前向きで積極的で具体的な議論ができました。」(小川)

参加者からは「生で、個と個のやり取りができることがよい」との感想をいただきました。

午後は前半に3本の公募パネルセッションが行われました。「子どもの日本語教育」をめぐって、パネル1では学習権や子どもの貧困といった社会的状況、パネル2では家族間での言語・文化・歴史の継承、パネル3では在籍学級での学習参加という視点から報告とディスカッションが行われました。

  pho2.JPG   「子ども達と関わるボランティアは、子どもを対等な存在とし、かれらの主体性を尊重する、との発言が
ありました。これが最も大切なことだと思いまし
た。」(小林)

 

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「具体的な体験談から、課題と展望を共有することが
できました。」(小池)

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     研究と現場(実践)がさらに連携する必要を感 
       じる時間となりました。」(横溝)

いずれのセッションも興味深い内容で、アンケートでも「選ぶのが難しかった。全部聞けるようなタイムスケジュールにはできなかったのか」というご意見がたくさんありましたが、半面、「自分にとって最も関心のある内容」だからこそ、どの会場でも発表者との間で深い議論が展開されたのではないかと思います。
pho5.JPG午後の後半は、大会パネル「幼児期のことばの獲得を支援する」が行われました。就学前教育現場と家庭でどのように「子どものことばの獲得」の支援がなされているかという報告と、それを理論的に意味づけるという流れで展開しました。まさに「日々の実践と研究を結び付けて」考える機会となりました。会場からも「就学前の支援に関心を持っているので現場の話、当事者である登壇者の話が興味深かった」「理論的な話が聞けて良かった」といった声が上がりました。

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子どもの育ちの中で日本語をとらえることや、複言語
が当たり前の生活の中での子育てと子育て支援につい
て、考える時間になりました。」(内田)

大会の運営に関しては、特に、発表数と時間について多くのご指摘をいただきました。一方に「もっと数を絞って、じっくり議論をするための時間の確保を」というお声があり、他方には「多岐にわたる内容に、1日で触れられるのが大会の良さ」というご意見がありました。これからの検討課題とさせていただきます。また、「初めて参加して/初めて発表して、良かった」という感想とともに、「大会に参加させていただくたびに、学校と支援員、国際教室の連携が強くなり成果を上げていることに気づかされます」という感想がありました。子どもの日本語教育研究会がつながることの意味を考え、つながるきっかけを作り、そのつながりが子どもたちの成長をどう支えているかを伝える場になれば、こんなにうれしいことはありません。実行委員の皆様、関係者の皆様、そして何よりご参加くださった皆様、大会へのご協力に心より感謝申し上げます。
最後に、きっと皆さんの声を代表しているこの感想を・・・

「いろんな先生方とお知り合いになれてよかったです。(河野)」

(第3回大会実行委員長 東京学芸大学 菅原雅枝)

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